「告白」「渇き。」中島哲也

 中島哲也「写るンです」や「NTT東日本」などの有名CMを手がけているCMディレクターです。他にも、サッポロ生黒ラベルの「スローモーション卓球」でお馴染みのあのCMのや、フジテレビのCMの「きっかけは、フジテレビ。」や「武器はテレビ。」といった内容の物まで手がけております。映画に関してはやはり、告白や下妻物語などが有名で、その独特な映像表現から高い評価を得ています。しかし、人間としては少しどうかと思う偏屈なところがあり、アヤカ・ウィルソンさんなどの子役から逆に怒られてしまったりといった一面も持っている監督です。また、AKBのプロモーションビデオを手がけた際にも、非常に残虐な描写で賛否両論を巻き起こした過去などがあります。

略歴

福岡県立筑紫高等学校、明治大学卒業。1982年、大学在学中は、騒動舎に属し制作した『はの字忘れて』がぴあフィルムフェスティバルで入選しました。

大学卒業後、CM制作会社の日本天然色映画に所属。CMデビュー作のフジッコ漬物百選では、山口美江の「しばづけ食べたい」のセリフがストーリー題になりましました。以後、サッポロ黒ラベル「温泉卓球」篇など多数のヒットCMを世に送り出しCM界の巨匠として知られるようになりましました。

1987年からフリーとなり、1988年に『バカヤロー! 私、怒ってます 第二ストーリー 遠くてフラれるなんて』で劇場映画監督デビューしましました。映画監督としては2004年の『下妻物語』から注目されるようになり、その後もヒット作・ストーリー題作を作り続けています。

2010年の『告白』では日本アカデミー賞最優秀監督賞と最優秀脚本賞を入賞。『告白』は第83回アカデミー賞外国語映画賞の第1次選考9作品に残ったが、最終ノミネート5作品には選ばれありませんでした。

役者に厳しい偏屈な監督

 AKB48の『Beginner』の促進映像媒体を監督した折には「ゲームの世界に没頭する若者への警鐘」「痛みを通して生の意味を問う」などの奨励を込めた力作として大成したものの、出現するメンバーが極悪な加害を受ける表現があるため、初公開されたイベントにおいては実演時に眼をつぶるファンも多数、また、若年層ファンへの悪作用の気懸かりがあり、シングルに付属されたプロモーションビデオはダンスシーンとメイキング映像で再編集された内容《DVDバージョン》となりましました。オリジナルについてはレコチョクのみで配信されましたが、のちに発売されたミュージッククリップ集にも収録されることとなりましました。

 他にも「(泳げないから)プールの深さはどれぐらいですか?」とクエスチョンした松たか子に対して「内容のことはともかく、プールの深さしか聞かないのかお前は?」と落胆したり、アヤカ・ウィルソンに反対に現地での態度を説教されるといった挿ストーリーがあります。

 また「集団でのモノ作りが苦手」「熱気のある現場は嫌い」「重く辛い、胃が痛くなる空気の仕事が好き」であると語り、スタッフが撮影中に笑っている時には「集中力が無い」と注意し、長年一緒に仕事をしているスタッフたちとも仕事以外のストーリーはせず、彼らの私生活も全く知らないといいます。

 「プロの役者さんをほめるのは逆に失礼」という信念を持っており、『嫌われ松子の一生』に主演した中谷美紀は、著書で「出演者に厳しい」と、エピソードを披露しています。

下妻物語
 自称「乙女派文筆家」の嶽本野ばら氏の同名小説を原作に実写映画化した作品です。深田恭子主演で、茨城県下妻を舞台にしたコメディ友情ドラマが描かれます。中島哲也監督の独特過ぎる映像感覚が本作においても十二分に発揮されており、地方を舞台にした映画でありながらも、地味さや垢抜けなさとは無縁のサイケデリックなイメージの作品に仕上がっております。このセンスの良さは流石にこの監督でなければ出せないかと思いましました。
告白
 とにかくすごい映画です。痛快なほどの不快感に包まれたいのであればこの映画以外には無いでしょうといえるほどの作品で、パク・チャヌク監督の「オールド・ボーイ」や園子温監督の「冷たい熱帯魚」をはるかに超えた不快演出で見るのものを椅子に釘付けにしてしまう作品です。特にやはりCM監督だけあってか、非常に広報面でも上手いなと思いましました。「先生の娘を殺したのは、誰?」というミステリチックなキャッチを書いておきながら、冒頭のシーンでもう先生によって犯人が誰なのかは暴かれてしまうという……広告のキャッチを見てきた人にとってはもうここで面食らうはずです。そして、その後シーンが切り替わり様々な視点からそれぞれの人物のやったことが、圧倒的な緊張感で描かれます。とにかく演出面がヤバイです。全く幸せからも笑いからも程遠いシーンなのに、何故か優雅なBGMが流れ、映像も非常に美しく、テンポや構成に全くと言っていいほど無駄がないという、狙いすまされた、研ぎ澄まされた嫌がらせのような作品になっております。あなたもおそらく、あまりの凄さに笑ってしまうはずです。
渇き。
 賛否両論のレビューがあちらこちらで見られる本作ですが、トレーラーを見て既にダメだと思った方は見るべきではないでしょう。ただ、トレーラー自体をみて「これは!」と思った方には絶対的にオススメ出来る作品です。殺人、暴行、拷問、ドラッグとバイオレンスの塊のような作品でいて、それぞれの映像表現が飛び抜けてハイセンスです。勿論これらは原作小説、深町秋生の「果てしなき渇き」を比較的忠実に表現したものではあるのですが、各所に挟み込まれたアイドルソングが、非常に破壊的な表現として用いられている点や、めまいがするほどサイケデリックにカラフルという中島監督にしか出来ない狂気の演出が非常に素晴らしかったです。

監督作品

CM

  • フジッコ「漬物百選」
  • クノール カップスープ
  • サントリー 冷撰洋酒
  • サントリー モルツ「モルツ球団」
  • 富士フイルム フジカラー写ルンです
  • J-PHONE J-PHONE全国化第2弾【家庭篇《石川真希、浦田賢一》】【教室篇《香川照之、黒沢優》】(2000年)
  • JRA'99年間キャンペーン
  • NTT東日本 フレッツ 「ガッチャマン」篇
  • サッポロビール サッポロ生 黒ラベル 「温泉卓球」篇
  • プロバイダーZERO
  • フジテレビ「きっかけは、フジテレビ。」《2002年》
  • マンダム「GATSBY」《2006年 - 》
  • フジテレビ 27時間テレビ「武器はテレビ。」《2014年》

映画

  • はの字忘れて《1982年》監督
  • バカヤロー! 私、怒ってます 第二ストーリー 遠くてフラれるなんて《1988年》監督
  • 夏時間の大人たち《1997年》監督
  • Beautiful Sunday 《1998年》監督・脚本
  • LUCKY STRIKE (2002年) 監修
  • 下妻物語《2004年》監督・脚本
  • 嫌われ松子の一生《2006年》監督・脚本
  • パコと魔法の絵本《2008年》監督・脚本
  • ララピポ (2009年) 脚本
  • 告白《2010年》監督・脚本
  • 渇き。《2014年》監督・脚本

テレビドラマ

  • SMAP×SMAP Smap Short Films 「ROLLING BOMBER SPECIAL」《2001年》
  • 世にも奇妙な物語 2001年秋の特別編 「ママ新発売!」《2001年10月4日》
  • 私立探偵 濱マイク 9ストーリー「ミスター・ニッポン 〜21世紀の男〜」《2002年》
  • X'smap〜虎とライオンと五人の男〜《2004年12月25日》演出

ビデオ

  • The Works of Tetsuya Nakashima

プロモーションビデオ

  • 斉藤由貴「少女時代」
  • 松たか子「みんなひとり」
  • ぼくのなつやすみ3 -北国編- 小さなボクの大草原 「2007年夏限定 特別映像企画 -あの夏に-」
  • SMAP「そっと きゅっと」
  • AKB48「Beginner」
  • 乃木坂46「走れ!Bicycle」

主な入賞

  • ぴあフィルムフェスティバル 入選《『はの字忘れて』》
  • ACC - 金賞《JRA》
  • ACC グランプリ - 特別賞《演出》《サッポロ黒ラベル》
  • ADC - グランプリ《サッポロ黒ラベル》
  • ギャラクシー奨励賞《サッポロ黒ラベル》
  • 第26回ヨコハマ映画祭 - 作品賞・監督賞《『下妻物語』》
  • 第30回日本アカデミー賞 - 優秀監督賞・優秀脚本賞《『嫌われ松子の一生』》
  • 2006年度文化庁芸術選奨 文部科学大臣賞
  • 第32回日本アカデミー賞 - 優秀監督賞《『パコと魔法の絵本』》
  • 第34回日本アカデミー賞 - 最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀脚本賞《『告白』》