「ジョゼと虎と魚たち」「のぼうの城」犬童一心

 脚本、CMディレクター、映画監督とマルチな活躍を見せる人物が、この犬童 一心監督です。様々なカルト的な人気を誇る映画を撮影している人物でもありますが、CMにおいてもその才能を発揮し、様々な賞を受賞しております。

略歴

東京都で生まれ。法政大学第一高等学校《現:法政大学高等学校》在学中より自主制作映画の監督、製作をスタートします。1979年『気分を変えて?』の脚本・監督をつとめ、ぴあフィルムフェスティバル入選しました。入選後、黒沢清、手塚眞らと知り合い、交友を深めます。

自主制作時代、池袋文芸坐《現・新文芸坐》主催のMWC《マインド・ウェーブ・シネマ》に参加、1982年『赤すいか黄すいか』《16mmフィルム》、1983年『夏がいっぱい物語』《8mmフィルム》などのフィルムによる作品を手がけましました。

東京造形大学造形学部卒業後は朝日プロモーション《現・ADKアーツ》入社。CMディレクターとして数多くのTVCMの企画・演出を手掛け、ACC賞、IBA、ニューヨークフィルムフェスティバルなど入賞多数です。

CM演出のかたわら、1993年『何もかも百回も言われたこと』《西岡由美子/クララサーカス 脚本・主演》監督・製作。 同年、実写とアニメーションを組み合わせた掌編『金魚の一生』監督・製作で「キリンコンテンポラリーアワード」1993年度最優秀作品賞を入賞しましました。翌年『二人が喋ってる。』で長編デビュー。サンダンスフィルムフェスティバル in東京でグランプリ、第37回日本映画監督協会新人賞入賞。 同作をきっかけに1998年、市川準監督より『大阪物語』の脚本執筆を依頼されましました。脚本家としては他に、塩田明彦監督『黄泉がえり』も担当しましました。

2003年、第54回芸術選奨映画部門において、監督作品『ジョゼと虎と魚たち』が大林宣彦、佐藤忠男、羽田澄子、山田洋次、高野悦子、市川準などの審査員によって「芸術選奨新人賞」に選出されましました。自主製作時代、大林宣彦監督の『ねらわれた学園』《1981年》に生徒会長・高見沢みちるの超能力で懲らしめられる不良学生役で出演しているとWikipediaで書かれていた事について、本人がツイッター上で否定している《同作品には有川正彦役の手塚眞をはじめ、当時の自主映画関係者が多数エキストラ参加している》。

大島弓子のファンで、現時点で自主映画時代を含め3本の長編作品を映画化しています。2000年の『金髪の草原』と2008年の『グーグーだって猫である』では監督・脚本を兼務しています。また1970年代のホラー映画のファンでもあり、『金髪の草原』『ジョゼと虎と魚たち』等も「ホラー映画の『館もの』の雰囲気で演出した」と語り、また「今後、純粋なホラー映画を是非撮りたい」とも発言しています。

ジョゼと虎と魚たち
 今でさえ誰かが車いす(買えないので乳母車)に乗せてくれなければ外出できないのに、側に誰もいないとなるとどんなに不自由だろう。これだけ強く印象に残った映画は他にはあまりないです。タイトルは何これという奇抜なものだったけど、中身はとても純粋でリアルで切ないものでした。ジョゼの祖母が死んだと聞かされたとき、私も恒夫同様跳んでいっただろうと思います。(乳もみゴミ出しは妙にリアル)しかしジョゼは平然、元々海の底にいる者はそこにとどまる限り何の不自由もないのかもしれないです。
メゾン・ド・ヒミコ
「愛はあるのに欲望がない」と「愛はないけど欲望だけがある」という2つの関係の狭間で泣いてしまう柴咲コウちゃんは、なんだか滑稽で笑えるんですけど、最後は《メゾン・ド・ヒミコ》の優しくピュアな愛情に包まれて幕を閉じる、ささやかで微笑ましいメルヘンに仕上がってます。男が美しくて女がブス・・、これもまさにメルヘンですね(笑)。ゲイを扱った映画ですが、シリアスで閉塞的な結末になるのを避け、むしろ無垢な愛情を信じられるようなナイーヴな物語になってます。男は男でなく、父も父ではなかったけれど、そこにはたしかに愛情があったという、これって、やや浮世離れはしてるものの、ひとつの理想なんですね。ただし、「父の死」と「母の真実」の部分は、もっと強いインパクトで描かないと、ラストに結びつけるためのエピソードとしては弱い気がしましました。技術的な面では、昨今の日本映画としては上出来です。コウちゃんのキャラがややテレビ的というかマンガチックな印象があるけど、海辺に建てられた《メゾン・ド・ヒミコ》の美しさが魅力的だったので全体として満足できましました。「編集にミスがある」という指摘もあるようですが、わたしが見るかぎり初歩的なミスは無いように思います。

監督

映画

  • 気分を変えて?《1979年、兼脚本、8mm映画》
  • ミッドナイト・ドライブイン・シアター《ポッキー・ホラーショー》《1982年、8mm映画》オムニバス映画。他に手塚眞、今関あきよしらが監督。
  • 赤すいか黄すいか《1982年、兼脚本、16mm映画《モノクロ》》
  • 夏がいっぱい物語《1983年、兼脚本、8mm映画》
  • ロイドより《1988年、クララサーカス主演、未公開》
  • 金魚の一生《1993年、兼脚本、アニメ》
  • 何もかも百回もいわれたこと《西岡由美子/クララサーカス 脚本・主演》《1993年》
  • 二人が喋ってる。《1995年、兼脚本》
  • 金髪の草原《2000年、兼脚本・編集》
  • 伝説のワニ ジェイク《2002年、兼脚本、アニメ》
  • ジョゼと虎と魚たち《2003年》
  • 死に花《2004年》
  • いぬのえいが《2005年》
  • タッチ《2005年》
  • メゾン・ド・ヒミコ《2005年》
  • 黄色い涙《2006年》
  • 眉山-びざん-《2007年》
  • グーグーだって猫である《2008年、兼脚本》
  • ゼロの焦点《2009年》
  • のぼうの城《2012年、樋口真嗣との共同監督》
  • MIRACLE デビクロくんの恋と魔法《2014年》

テレビ

  • 伝説のワニ ジェイク《2001年、兼脚本、アニメ》
  • 愛と死をみつめて《2006年》
  • アザミ嬢のララバイ 第1ストーリー「秘蜜を吸う」 第2ストーリー「愛を、更新する。」《2010年、兼全ストーリークリエイティブディレクター》
  • ブカツ道 第3ストーリー「練習とか面倒だし。」《2010年、兼脚本》
  • イロドリヒムラ 第8ストーリー「才能がない」《2012年》
  • ダークシステム 恋の王座決定戦《2014年、兼企画・シリーズ構成》
  • セーラーゾンビ《2014年、企画・総合演出・脚本》
  • グーグーだって猫である《2014年》
  • 夢を与える《2015年》

WEB

  • 手を握る泥棒の物語《2004年》
  • オールラウンドAV物語 たのし荘の人々《2005年、NECプロモーション・ネットムービー/全7ストーリー》

DVD

  • SF 少女ドラマシリーズ「ADS77」《2013年、AKB48「恋するフォーチュンクッキー」特典映像》

脚本

  • 大阪物語《1999年》
  • ドリームメーカー《1999年》
  • 料理少年Kタロー 第8ストーリー《2002年》
  • 黄泉がえり《2003年》
  • 航跡 〜横山やすし フルスロットル〜《2004年、テレビ》

入賞TV-CM

  • そふとシンコー《ACC地域奨励賞 1991年》
  • VISAインターナショナル《ACC秀作賞、IBAファイナリスト、NYフェスティバルファイナリスト 1995年》
  • アウディA6《IBAファイナリスト 1997年》
  • 小岩井乳業《岩手県広告大賞、ACC奨励賞 1999年》
  • オリコJUクレジット《ACC銀賞 2001年》
  • カプコン《ACC賞 2001年》

音楽PV

  • YUKI「うれしくって抱きあうよ」《2010年》
  • FUNKY MONKEY BABYS「LOVE SONG」《2011年》
  • 前田敦子「君は僕だ」《2012年》
  • エレファントカシマシ「ズレてる方がいい」《2012年》【樋口真嗣監督と共同監督。「のぼうの城」の主題歌。】